あたしは、すぽんと何かから抜け出る感覚に襲われた。


「あん?」


あたしは、その不思議な感覚に、思わず下を見下ろすと、あたしがベッドの上に倒れているのが見て取れた。


「〇×△□※!」


頭の中がぐしゃぐしゃに混乱した。


あたしは空中に浮かんで、ベッドの上に倒れている自分を見下ろしているのだ。


これは、世に言う『幽体離脱』と言う奴であろうか。


「あ、あれ、あれ!」


あたしは若様と自分の体を交互に見ながらしきりと自分の体を指差して、自分が倒れている事を、必死でアピールするが、彼は、優しく微笑み、優しい瞳であたしの耳元で囁いた。