感方恋薬-知られざる月の館-

「へぇ嬉しい事いってくれるじゃない」


あたし達は、そう言うと何となく見詰めあう。


う、貴子、彼のペースにはまらない様に注意しないといけないわ。


気をしっかり持つのよ、がんばれ自分!


しかし雰囲気は、どんどんと盛り上がる。


今日は下手な小細工は無しだ。


あたしは素の状態で勝負に挑んでいる。


うん、これは勝負だ、負けられないんだ。

そう、負けちゃぁいけないのは分かってるんだけど、うん、そう、あたしが押され気味だ。勝負は宗一郎に主導権が渡されている様に感じる。


だめよ貴子、流されちゃぁ――あぁ、でも、駄目――流されちゃいそうじゃぁぁ――と、思った瞬間


「た、たかこさぁあん!」


茂みの中から、幸がバサバサっと現れた。


「駄目です、貴子さん、正気に戻ってくださ――い」


幸の悲痛な叫びにあたしははっと我に返る。


そうだ。呪文、呪文だ!