感方恋薬-知られざる月の館-

「…若気の至り、わしは、誘惑に勝利する事が出来ずに、ついつい、その奥儀に手を出してしまったのじゃ」


「――それで?」


爺は、はぁとため息交じりに、かくんと俯く。


「結果は見事に失敗じゃった」


「おい…」


「そして、その失敗の性で、わしの精神が二つに分かれ、ひとつは、真面目に呪術修行に励むわし、もう一つは、欲望の赴くままにへろへろと飛びまわる邪悪な精神にと別れてしまったのじゃ。その邪悪な精神は、時には空中を彷徨い、人の夢に現れたり、あるいは人に取り憑いて欲望のままに女性をたぶらかしたりと、言う行動に出ておるのじゃよ」


あたしは爺の話を反芻した。


そして、めらめらと、怒りが湧き上がってきた。


のじゃよって、そりゃぁね~んじゃないか?