感方恋薬-知られざる月の館-

くだんの宗一郎は、余裕の笑顔を見せたりして居る。


「やぁ、そういう趣向でしたか」


宗一郎は、にこにこをパワーアップさせて幸達に向かってゆっくりと歩き始めた。


「いけませんよ、お嬢さん。こんな趣味の悪い悪戯をしては」


紀美代が何故か蛇に睨まれた蛙状態に成ってしまっている。


幸も何故か彼の行動を静止する事が出来ない――なんでだ?


「あぁ、き、紀美代さん!」


幸の声が空しく響く。


宗一郎は紀美代から、ひょいとデジカメを取り上げると、それを弄り回し「これは消しますね」と言うと、決定的瞬間をあっさりと消去してしまった。


宗一郎は、紀美代にデジカメを返すと、彼女の頭をぽんぽんと軽く叩き、物凄く意味ありげで不敵な笑みを浮かべると、ゆっくりあたし達の前から立ち去った。


「――ぁあ、ああ、さちぃ」


あたしは何とか声を絞り出すと幸に向かって、のたくたと歩き始めた。