あたしの背後を取るとは大した腕前じゃぁないか。


などと思いつつ、あたしは宗一郎の顔をゆっくりと見上げた。


「すみません、お待たせしました?ちょっと生徒会の仕事が有ったものですから」


宗一郎はあたしに向かって、にっこりとほほ笑むと済まなそうに、ぽりぽりと後頭部なんか掻いてみたりして居る。


ちらりと見せる八重歯がきらりとかがやいたりなんかして――


「いいえ、あたしも、今来た処ですから」


両手を組んで、きらきらおめめ…て、おいおい自分、しっかりしろ。


相手のペースに巻き込まれたら終わりだぞ。


これはあくまで、科学部の為の御芝居、演技でなけりゃぁならないんだぞ。


と、分かっちゃぁ居るんだが…