あたしは爺を部屋の隅に追い詰めた。


「さぁ、話って言う奴を、聞いてやろうじゃぁないの」


あたしは爺の前に仁王立ち。爺は壁を背に極限まで追い込まれていた。


「つ、つまりじゃな。人間、形から入るのも一つの手じゃと言う事じゃよ」


「形から入る?」


「そうじゃ、形からじゃ」


「形から…ねぇ…」

         ★

次の日、放課後となった。


「え―――科学部で御座います!」

幸がメガホン片手に帰宅する生徒に向かって呼びかける。


あたしと紀美代もにこやかに、部員募集のびらを皆にほいほいと配布して行く。