「うん、鼻は乾いてない…」


犬かあたしは…と、その前に論点がずれてるぜ、とは思って見たが、それ以上の反撃をする気になれず、又しても生半可な返事をしてしまった。


その返事を聞いて弟と母が顔を見合わせて居る。


そんなに変か?あたしが食べ物に執着しない事が、え?

         ★

ベッドに転がって、あたしの心に浮かんだのは幸の顔だった。


あたしを守ろうと、必死で幽霊捕獲網を振り回す幸の姿。


「どうした、元気が無いのう」


ふわりと爺が現れた。


あたしは直感的に思った。


そうだ、全部こいつが悪いんだ。


あたしは、ゆらりとベッドから起き上がると、爺に向かって、ふらふらと、歩を進めた。