ただ、あたしは爺の言葉を思い出して、はたと、我に返る。


そうだ、これは、爺が二人居ると言う、非常に不自然な状態なのだ。


若様が素敵だから、まぁいいやと無視してしまっても、いいかなぁと思ってみたが、いくらなんでもそれは能天気過ぎると言われてしまうだろう。


と、言う訳で、あたしは、若様に、勇気を震わせて訪ねてみた。


「え?、あぁ、その事ですか…」


う、やっぱり余計な事を聞いてしまったらしい。若様の視線が遠くを見つめてしまった。


「あ、い、良いんですよ、ちょっとした好奇心ですから。別にあたしは気にしませんから。ほんと、ほんとです」


あたしは、必死で言い訳を並べてみたが若様は遠くを見詰めたままだ。そしてあたしに視線が戻って来たのは、ちょっと息切れがしてしまう頃だった。