あたしの部屋で爺は話を聞きながら、うろうろ歩きまわって居た。


「まぁ、しょうがない事じゃ。よく考えてみなさい、あやつも貴子から見れば、過去の人間じゃ。現在に生きる物では無い。いくら恋をしてみた処で成就する事は、不可能じゃ」


「じゃぁ、あの、巻物は何なのよ、あたしが誰かに宛てたって言うラブレターは?」


「それは、時が来れば分かる事じゃ」


「ふーん。でもやっぱりさぁ」


「ん?」


「やっぱり気になる。なんで爺は二人居るの?」


爺はぴたりと歩きまわるのを止めると、髭を弄びながらあまり気乗りしない表情で答えた。


「うむ、そうじゃのう」