あの「イシュタルの秘密の惚れ薬」事件で幸を巡って戦うハメになったクラスメートの紀美代だった。


彼女は「お手伝いしますね」と何の抵抗感も見せずにあたしを羽交い締めにすると、にっこりと微笑みながら、ぎっちりとあたしを押さえ付けた。


「ちょい、ちょっと紀美代、何よ、放してよ」


両手の自由を奪われて、しょうがないので両足だけをばたばたと動かして何とか抵抗を試みた。それが功を奏して右足にケーブルが絡みつき、装置本体を引っ張ってしまい、装置は床に落下した。


同時に装置から、不気味な火花が飛び散る。


「あ、危ない」


のほほんとした幸の声が耳元で聞こえた様な気がしたその瞬間だった…

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