などど考えて居たら、いきなり幸が自分の席から立ち上がり、あたしの方向にくるりと振り向くと、やっぱり飼い主を見つけた犬っころの様に、ぱたぱたとしっぽを振らんが如き勢いで、あたしに向かって近付いてくる。


「貴子さん!」


「お…おぅ」


幸の勢いに押されてあたしも満足な返事が出来なかった。


「今度こそ完璧です、完璧な幽霊補完電磁籠が完成しました」


あたしは幸の頭を思わずグーで殴っていた。


         ★

そんな訳で、その日一日だけは、幸はおとなしく暮らす事となった。


うん、めでたいめでたい。