「複雑な?」


「そうじゃ、複雑な事情じゃ」


「はぁ…」


爺はあたしに背を向けたまま、ひらひらと右手を振りながら、ゆっくりとあたしの前から消えて無くなった。


「なによ、複雑な事情って」


どうせしょうもない事情なんだろうとあたしは勝手に決め付けて、あたしはベッドに潜り込むと深い眠りの世界に落ちた。

         ★

幸の発明で、あたし達の教室は全壊状態。使用不能の為、臨時で視聴覚室が一時避難場所になった。


流石に、今回の一軒で幸も懲りたろうと思って居たのだが、奴は、教室の一つや二つ、吹き飛ばした位じゃぁ懲りない奴だった。


幸は、相変わらず、自分の席で机の上に訳の分からない機械を並べると、嬉しそうにそれを弄り回している。