「さぁて、夜も更けたし、今日も休むとするかのう」


爺は明後日の方向に視線を移すとその場から消えて無くなろうとした。


「あ、そうだ…」


思い出した様に、あたしは爺の事を呼び止める。


「そう言えば…」


「ん?なんじゃ?」


「若様はどうしたの?」


あたしの質問に爺は少し考え込んだ。


「複雑な事情が有ってのう…」