月の光は冷たく鋭く降り注ぐ。


あたしは窓を開け放ち、勉強机の椅子に座るとぼんやりと頬杖をついて、その満月を見詰めて居た。暫くすると、背後にふっと人の気配。


あたしはゆっくりと、その気配に向かって振り向く。


そこには、爺が立って居た。


「…」


あたしは何も言わなかった。そして爺も優しい眼差しであたしを見詰めて居る様な気がした。


「爺…」


あたしは椅子からゆっくりと立ち上がり、爺に向かってゆっくりと歩を進めようとした瞬間だった。