「あたしらはさ、教師だから信じてないって訳じゃないんだよ。


大人は誰も信じない。


両親だって一緒」



少女は、悲しそうでもなく怒っているようでもなく、ただ無表情でそう言った。



「だったら、まず俺を信じてみないか?


俺、お前の為ならなんでもする。


ウソはつかない。


だからさ、何かにムカついた時とか悪い事したくなった時とか俺んとこ来いよ。


いつでも話聞いてやる。


お前の味方になってやるから。


お前はさ、大人たちに信じてもらえないのが悔しくて、自分をもっとちゃんと見てほしくて、だから大人に反抗してるんだよな?


本当はかまってほしいんだよな?


心開いてちゃんと話したいんだよな?


俺は知ってるよ。


お前が本当はすげぇいい子だって事。お父さんの事もお母さんの事も大好きだって事。


いっぱい友達がほしいって事。


勉強だってやれば出来るって事。素直になりたいって事」












少女は泣いていた。



ポロポロと滴り落ちる涙の粒は、少女がこれまでずっと閉じていた心の扉の破片なのかもしれない。