「なんでそんなに必死なの」



そう言いながらケラケラ笑っているコウスケを見て、あたしは少し腹が立った。



でも、タバコの匂いとほんのり甘い匂いが混ざり合っているコウスケの制服の香りが懐かしく、居心地がよかったのでなかなか離れられなかった。



離れたく…なかった。



「じゃぁ、やめない?」



なんだか今日は、いつもの自分でいられない。



「もうちょっとがんばってみるかな。あんたが担任なら少しは楽しくなりそうだしな」


「よかった。じゃぁ、何かあったらあたしに言ってね」


「わかったよ」



コウスケはあたしを離し、立ち上がった。



ズボンについた砂をはらっている。



その時、おしりのポケットから何かが見えた。



あ〜忘れてた。



「とりあえず、コレは没収ね」


あたしはコウスケのおしりのポケットからタバコの箱をスッと取り出した。



「なんだよ、今更」


「一応これも仕事だから」