「調子どう?」




病室のドアを開けながら、中にいるコウスケに声をかけた。




「うん、いい感じ」




コウスケの容態はすっかり良くなっていた。



退院はまだもう少し先になるという事だが、こうして見舞いに来るのも悪くない気分だ。



「そう。よかった」



あたしは持参したプリンにスプーンをそえてコウスケに渡した。



コウスケとプリンの2ショットは似合わない気がしておかしかった。



「なぁ」



コウスケがスプーンをくわえたままあたしを呼んだ。



「ん?」



コウスケはじっとあたしを見ている。



コウスケの緑色の瞳にまた吸い込まれそうになった。



この瞳の色が生まれつきだというから驚きだ。



「やっぱ何でもない」


「はぁ?ちょっと何?気持ち悪い」


「ホント、何でもないから」


「そんなわけねぇだろ!早く言え」



コウスケの胸ぐらを鷲掴みにして揺さぶった。



「俺、けが人なんだけど」


「うるさい」


「うるさいって…」



あたしたちはここが大部屋だという事を忘れてじゃれあった。