「やってよかっただろ?」



少年は少女の肩に腕をまわした。



「うん」


「お前は…もう俺の物だよ」



少女は何も言わない。



ただ空を見上げていた。星も出ていない都会の汚れた夜空を見上げていた。



「ねぇ」



少女が不意に口を開いた。



「あ?」



少年は少しめんどくさそうに答える。



「いつからやってんの?」


「だいぶ前」


「だいぶ前っていつ?」


「さぁ…覚えてねぇよ」


「ふぅん」



少女は少年の顔を一瞬見て、また空に目を戻した。