「大丈夫?」



キョウカが心配そうに少女の目を覗き込んだ。



「大丈夫」



少女は力強く言った。



不思議と涙は出ない。



もしかしたら、少女は南條が死を覚悟しているという事を予測していたのかもしれない。



「岩佐木、つぶそうか」



キョウカはケロッとした顔で物騒な事を言った。



確かに、キョウカなら岩佐木をつぶすことが出来るだろう。



藤嶺キョウカ、旧姓高羽キョウカ―



関東黒龍会会長、兼関東黒龍会高羽組組長。



「仇討ちはガラじゃないから。それに父さんの世話になるのはいやでしょ?」



藤嶺ゲンゾウ。



警視庁、警視総監。



この夫婦は世界最強に間違いない。



「まぁ、やだね」


「だったらおとなしくしてて」


「わかったよ」



わかったとは言っているが、まだ不服そうな表情だった。