「やってないよ」








あたしは、少し口元を緩めて言った。



コウスケにウソを見破られた事が嬉しかったのと、ずっとついてきたウソから解放されるという事にホッとしたから。



あたしのこの表情は、コウスケに見えているのだろうか…




「やっぱりね。じゃあどうして俺にウソついたの?」


「昔…


テツに薬薦められて、飲んだフリしてた。


トんだフリもした。


こんなどうしようもない奴でも大事な仲間だったから…


あと、ちょっとだけ怖かったから。


だから誰にも言わなかったんだ。


自分以外は知ってたらいけないと思って」


「でももう今は兄貴は仲間じゃないし、怖くもないだろ?


だったら俺にウソつく必要はない。


それに、もう何年もたってる」