「てめぇ、ウソついたら俺が殺すからな」



南條は険しい顔でテツの頭を鷲掴みにした。



テツは泣きそうになりながら、首が取れてしまうんじゃないかと思うほど横に振った。



「ウソじゃねぇよ。前の事務所はサツに目つけられてもうダメだから、岩佐木組系の兄貴の事務所に移ったんだ」


「はっ。岩佐木組の頭が聞いてあきれるな。情けない」



テツも南條と同じ事を思っているのか、何も言わなかった。



「今から俺をそこに連れていけ。それがお前を解放する条件だ」



南條は低い声でそう言った。



テツは迷いながらも小さくうなずいた。