南條がテツを殴ったりしなかった事に安心して気を緩めてしまった少女が、個室の中にあるゴミ箱を蹴ってしまったのだ。



出口を目前にしていたテツが、その音に振り向いた。



「何の音だ?」



テツが訝しげに聞いた。



「何でもねぇ。気にすんな」



南條は言ったが、言い逃れ出来るはずもなかった。



テツは少女が入っている個室に近づいていく。



南條はテツを止める言葉が思い付かない。



少女も逃げる事は出来ない。



テツがドアを蹴ると、ダンッという音と共にドアか勢いよく開いた。



テツと少女の視線が合う。





















「お前、なんでここにいる?」