クローバークロニクル

「…俺も、辞めるべきかな、学校」


「何で?」


「クローバーで学校辞めた奴らって、みんな家族で旅行に行ったり、好きな事したりしてるんだって。
時間が限られてるからな…」


「………」


そうだよね、家族はみんな一緒に居たいよね


「親父達も、仕事辞めるって言い出して…
家のローンとかどうするんだって言ったんだけど」


「海里…」




自転車の影が長く伸びる


セミの声が遠くで叫んでるように聞こえた


「まだ、海斗がいるから、働いてもらわないと…」


「………」


何にも言ってあげられなくて…


言葉が出なくなってしまった


「なあ、環…」


「何?」


「今日も部屋に行っていい?」


「え…いいけど」


「あ、今日は襲わないから安心しろよ!
痛いんだろ?」


「………」


考えを読まれてることに一瞬顔が緩んだ


「痛いよ!!」


「ははっ、悪かったな〜」


なんて、寂しそうに笑わないでよ…


いつも輝いていた海里が、カッコよかったのに…