クローバークロニクル

「…こ、殺すの?」


「いや…もっと、酷いこと」


そう言うと、海里が私の両腕を自分の片手で掴むと、空いた方の手で私の太ももを触った


思わず身体がビクッとして緊張してしまう


「環…、誰も来ないよ。ここで黙って、俺の言うことを聞けよ…同情なんだろ?可哀想なら慰めてよ」


海里の手が外側から内側へ移動して、思わず足を閉じた


それでもこの恐怖と死の恐怖は、どっちが怖いんだろう…


「…同情とか…わかんないよ…」


緊張からか、恐怖からか、私の唇は震えていた


「海里に死んで欲しくない…それだけだよ」


海里の手が止まる


「お父さんだって、お母さんだって…きっと代わってあげたいって思ってると思う

確かに私だって怖いよ…クローバーなんかになりたくないし、死にたくない」


海里の腕が私の腕を掴むのを緩めてくれる


「でも海里は、まだ生きてるじゃん。やりたいこと、まだ出来るじゃん。生きて、身体だってまだ動くんだもん…勿体ないよ…」


「………」


「私のお父さんが、きっともうすぐ薬を作ってくれる…だから…」


「環…」