クローバークロニクル

「私も、お父さんも、仕事に行くから…
海里をお願いね…」


お母さんの寂しそうな目が心を刺す


私なんか…何も出来ないのに


私が階段を上がる途中、海里のお父さんとお母さんが玄関を出ていった





「海里?」


私の部屋に入れる部屋は、ここしかない…


と思ってある部屋をノックする


「環…」


隣の部屋から海斗が出てきた


「ずっと…こもってて。出てこないんだ」


「…そう」


「母さんも父さんも、仕事辞める辞めないで大騒ぎだよ…」


「………」


「頼む…」


肩をポンと叩かれ、海斗もまた外の世界に消えてしまった…



「海里…」


返事のない部屋のドアノブを回すと、意外に鍵はかかっていなくてすんなりと入れた


「海里?」


海里の部屋は、真っ黒いカーテン、黒のシーツ、枕、ベットカバー…黒で統一されていて真っ暗だった


ベットの中に潜り込んでいる海里の近くまで歩く


「海里…、学校行かない?」


「…辞めるよ」


「…そっか」


クローバーってだけで冷たい目を向けられる…


確かに、行かない方がいいかも