クローバークロニクル

海里がゆっくり手を伸ばして私を抱き締めた


そのまま床に座り込んで、海里がずーと動かないで私を抱いている


海里の指が後ろから私の髪を後ろへすいて、私の首筋に額を落とした


「お前と…結婚できなくなったな」


「海里…」


「…環、最期にキスしていい?」


最期??


「海里?最期って」


その時、海里が私の唇に視線を落としているのがわかって、黙って私も目を閉じた


海里が何度も何度も私の唇を奪っては離して、舌を弄んでは吸い上げてを繰り返して…


私は何も言えなくて、ただ黙って受け入れた


でも突然海里の動きが止まって、唇が離れていった


ゆっくり目を開けると、海里は目に一杯涙を溜めながら小刻みに震えている


「か、かい…」


「…同情かよ…」


「…え?」


「同情でキスしたのかよ…」


「海里…」


「さよなら、環…幸せになれよ…」


顔も見ないで私を残して出ていってしまった…


海里!!


気がついたら私の目にも涙が溜まっていて、胸が苦しくて…