Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜






「ユカ

どうしたの?ため息なんかついて」


「――― え…
…あ!マキちゃんごめん!」


「ううん
あ、私もココアにしよっかな」




後ろに、おサイフ持ったマキちゃん
あわてて自販機の、四角いボタンを押す


ゴトンと、音
雑居ビル 夜空の下


外、白い息の中で休憩
それは ため息じゃなくて、深呼吸




「どうしたの?笑って」


「え…あ、なんか、安心っていうか」


「緊張じゃなくて?」


「きっ!緊張は、もちろん!してるけど!」


「実はユカ、ライヴとなると
結構たくましいもんね」


「ん…んなこたあない!」


「あは」


「や…なんか…」


「ん?」




みんなといると、ホッとするっていうか


――― なんか息、吸いやすい感じがする…




「あ、向こうでもため息」


「え…」




「どうしたの?ヒカル」


そう言ったシノとマキちゃん
視線の先には、ヒカル




「なあんか…違うんだよねえ」


「えっ!ご…ごめん!
私、間違ったの気がついてたっ?!」


「ユカじゃなくてえ、歌詞がぁ」




「―――― 歌、詞?」


「そ〜…なんかぁ…
自分の言葉じゃないっていうかぁ…」


「え〜?そお〜?」


「うん〜…
だからもしかしたら、変えるかも」


「歌うのはヒカルなんだから
自由にすればいい」


結局ココアじゃなくて
コーヒー飲んでるマキちゃん




「うんうん〜!
マキちゃんの言うとおり〜」


レモンティーをふーふーしながら
のんびり笑うユリちゃん




「全然お…っけー!」


ちょっとむせながら
おしるこ飲んでるシノ




「…ありがと
―――よっし!
これ飲んだらまた、練習しよっ!」


「うん!」


「おーーっっ!!」