「あ…」
―――― 雨だ
私がビルのすき間
夕暮れ
暗くなって行く空を見上げながら
そう思ったとたんに
店員の人たちが店の中に
表にあった服を、大急ぎでしまい始めた
目の前、アスファルトの道にも
さっきまではなかった
赤や黒の傘たちが開いていく
「ミートもっちりバーガーのほう〜
三分少々お時間頂いても
よろしいでしょうかあ」
「あ、いいッスよ」
「席とっとく〜」
ガヤガヤしてる、タテに長いビルの一階は
今来たばかりな感じの人がいっぱいで
やっぱり急な雨から
逃げて来たんだと思う
トレー持ってあがった二階はいっぱいで
三階はなんか、かなりけむい
… サラリーマンばっか
――― それに
窓ぎわの席がうまってて
しかたないから
テキトーに、空いてるトコに座る
「お待たせいたしましたあ」
ハンバーガーは、すぐに来て
番号札と取り替えた店員さんは
軽くおじぎしてから 下に降りて行った
… なんか、静か
新聞とか本、読んでる人とか
窓の外
元々、灰色っぽいビルの景色が
雨のせいで、黒い壁に見えて
余計にどこかの、知らない街みたいになる
なんか、しばらく止まなそうだし
食べたらすぐ 家帰ろっかな…
熱いし、大きすぎて
横から色々飛び出して来るハンバーガーを
やっと半分くらい食べた頃
窓際の席が 一個あいた


