Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜






大学の駐車場 ―――


何台も運搬用の車が停まってるけど
そこに横開きの、大きなトラックが一台


背の高い運転席には
タバコくわえたアニキが乗り込んでて
もう、エンジンがかかってた




「あ…アニキーーーーっっ!!」


「…うおっ!!
飛び出てくんなバカ!!
あぶねえだろっ!!」




怒鳴られたけど
それよりも




「あ、あの…!!
――― 合宿、沖縄で…!」

「ドラムとかアンプ
ありがとうございましたっっ!」


「あ?
そうだオマエ
青山のケータイ知ってんだろ」




「え…っ
う…うん!」


「アイツにも礼いっとけ
昔のツテで、角材やら何やら
たくさん融通して貰って来たからさ」


「あ…青山さんも…?!」


「アイツ、大学ん時
材木屋でずっとバイトしてたからな」


「ざ…雑誌で見た事ある…!
それにベース、私が無くした後
”木は生きてる”って、
青山さん、詳しかった!」




アニキ、それ聞いて
楽しそうに笑って


「オレも昔
ギターのネック歪んだ時
アイツに直して貰ったコトあるわ

あ、あとよ
今回の件、タカコには黙っとけよ」


「え…なんで?!」




「借りだ〜なんだ〜って
またいちいち、小うるせーからな」




その顔は、マキちゃんが
アニキのこと話してる時にそっくりで
ユリちゃんも私も
思いきり笑ってしまった




「じゃあ離れろ
ちょい急ぐからよ」


「ど、どこ行くの?!」




「これから別んトコに
照明運んでかなきゃ行けねえんだ」


「き、気をつけてね!!」


「またです〜!アニキさん!!」


「んじゃな〜」




マキちゃんのアニキは
窓から右手をあげて


笑顔で、晴れた青空の下を
走って行った ――――