本番十分前
楽屋裏通路 ―――
「ざわ…ざわ…」
「うわ…なっ!!
すっごいお客さんいるよ?!」
「ガラッガラ予想してたけど〜
これはこれできっついね〜…」
「前のほう…女の子の波だ…」
「ヤバイ…ヤバイよ〜
三人とか予想してたのに…」
ステージから右手
ドリンクスタンドのプレートが
夜光のメニューと一緒に
カラフルに光ってて
横に広いフロアの端から端
出入口のある奥のほうまで
お客さんの頭で埋まってる
「あはは!
なんかシノの友達が
知り合いたくさん
連れて来てくれたみたい」
「ありがとう〜!シノちゃん!」
「お祭り好きだから!
でも、大学も後期入って
皆実験とか始めてるし
多分、次からは来られないよ」
「え〜…残念〜」
「だからライヴハウスで
お客さん、つかまないと」
「マキちゃん」
「時間…
かかってもいいんだ
私たちの曲を聞きに来てくれる人が
一人づつ増えて行ってくれたら
私は、それでいい」
「―――… っうん!!!」
「酢Tシャツ、披露しに行こう!!」
「―――… あれ?!シノ!
うちらでオソロの例のTシャツは?!」
「恥ずかしいからやめた〜」
「ええええええっ?!
裏切り者〜〜〜!!」
「”酢”のが恥ずかしいと思うよ?!」
「あははははは」
会場に流れてる音楽
SEが、変わった
「―――よし、出よう!」


