Turquoise Blue Ⅲ 〜好きな人の名前〜





ステージから見渡せる
まだ誰もいないライヴハウスは


”比較的新しい”って
マキちゃんが言ってた通り
とても キレイで ―――






時間がかなり
ズレていたのもあって


対バン同士
楽屋裏通路ですれ違うこともなかったし
お互いのリハーサルも見なかった




楽屋にこもったまま
衣装に着替えたり、メイクしたり




「あははは!シノ〜!
何でそのTシャツ
”酢”って書いてあんの〜!」


「ビネガー的な雰囲気?」


「あははは!イミフ〜〜!!」


「ねねね!!
”こんばんは〜♪
ストロベリーピンクで〜す♪
実はあたしたち
今日、初ライヴなんですよ〜♪”
…っとか曲の合間で言うのと

”ストロベリーピンク!
ギター!タカコ!!とか
間奏中に言うのとぉ
どっちがいいと思う?」


「後の〜なんか古くな〜い?」


「…えッッ!!
でも愛ちゃんとかも
コンサートでやってたしぃ…」


「昔のミュージシャンのとか
アニメ内のアイドルなんかは
よくそんな物言いをしとるがの」


「あれはオジサンとかが
考えてるからじゃないの?」


「うあああああ!
どうしたらいいのおおおッッ!」


「ひ…ヒカルが壊れたあああっっ!!」


「落ち着いて!
落ち着いてヒカルちゃんっ!!」


「ジュースジュース!!
あっ!もうないじゃん!!」


「ちょっと飲み物買いに行って来る!」


「ユカ!一人で平気?!」


「うん!すぐ近くに
自販あったから!!」