―――― 夏みたいな、 少し ぬるい風
武藤は、向こうむいたままだったけど
私は、首を横に ぶんぶんふった
「む…武藤は
いつもいいヤツで
…全然、わるくない…から」
「いいヤツじゃねえよ、俺」
「…… え」
「でも俺、葉山が好きだから!
…んじゃ!おやすみ!」
「え…?!武藤!
どっか行くの?」
一度も振り返らない
武藤が歩いて行くのは
駅とは全然、反対のほう
「…どっかって
家、帰るだけだし」
「え…
でも!武藤んちって…!
…うちのお父さんと、クルマ…」
「だって俺んちホントは
葉山んとこの駅じゃねえもん」
「え…」
「はい。
ここが最寄り駅でっす!
…やりづらいだろうし
バイトも辞めるからさ、安心しろよ
雨降るかもしんないし、早く帰…
―――… 葉山…?」


