最初に、過ぎた通りの景色


大人の人達とかが寄りそうな
居酒屋さんとか、ブティックとか


綺麗な建物ばかりの
住宅街に入ると
走るスピードは、少し落ちて


何度か来た事のある
高層マンションの前で


耳のとこで聞こえてた風の音が
緩く止まった




「… 着いたよ」


「――… あ、ありがとう」




地面まで足、ちょっと遠い


一度 『彼』の肩につかまってから
片足降ろして降りる


じ、自分もジーンズでよかった…




『彼』との間に挟んでた紙袋とか
ベースを手に持ち替えて
ちょっと大きく、息を吐いた


「… 怖かった?」


「う…ううん!」




黒いヘルメット、勢いよく外して

髪をかきあげながら、少し『彼』が
心配そうに顔を見て聞いてくれる


なんか、安全運転ぽかったし
全然怖いとかはなかった…


ただ…『背中広いなあ』とか…
…『お腹の腹筋すごおおお!』…とか


すごい緊張というか
ドキドキは、そういう理由で…


ある意味安心して
『彼』にくっついてたの
これが初めてだったし…




「… じゃあ、俺行くよ
練習、頑張って」


「―――― あ!!」