肩 抱かれながら
賑やかな、観客席の波を渡る
席の近くまで来た時
辺り見回してるマキちゃんと
目があって
その視線は、私の斜め上見て
ニコッと笑って、小さくおじぎ
それからすぐに
背中、ポンッて感じで押されてから
肩に回されてた手、離れて…
急いで後ろ、振り向いたけど
『彼』の姿 もう、なかった…
「――― ユカ!おかえり!」
「おっかえり〜!」
「た、ただいま…」
「おかえり〜!そろそろ始まるよ〜!」
「う、うん…!」
皆、何も聞かない
大きく 息を吐いた時
会場の音楽 突然止まって
すぐに、フェスの始まりを期待する
地面から沸き上がるような
大きな歓声があがったけど ―――
「――― なにこれ…」
皆、空を見上げる
「… 雪?」
ひらひらと 青い空から
「… 雪だ…―――!!」
―――― 白い雪が、舞い降りて来た…
流れて来たのは 『Azurite』の
”真夏の雪”
だけど声は 男の人
演奏も、全然ちがって ―――
でも、多分
このフェスに来た人は
皆知ってる曲だから
すぐにステージ 観客の声
ギターだけの 少しスローなその歌に
会場中が 声を、合わせた
拍手 ――――
『”ど〜も〜!!
この春にデビューしたばっかの
シスターフェイトって新入生バンドでっす!
オープニングアクト任されて
ドーンとのっけから盛り上がる曲
行こ〜か色々、悩んだんすけど…
オレら高校の時からバンド組んでて
最初に文化祭でやったの
”真夏の雪”だったから ―――
だから今日は、文化祭気分で
オレらの演奏、楽しんでって下さいっ!
次はオリジナル!”HELLO!”』


