「・・・じゃあ何かあったら呼んでね」
「はーい」

扉を閉める直前までルディは私の顔をみて笑っていた。パタンと扉を閉めるとすぐに、風呂場の戸の「ガラガラ」という音が聞こえた。


ふうぅ・・・。何かあって呼ばれても困るのだが。


だって、突然ドアを開けて、ルディの事だから変な風に隠したりしないで、そのまま・・・私を待つ可能性もあるわけだし。

大事なところは隠せって言えばよかった。

それとも大事なところは隠すものだ!と教えれば良かったか。


「でもなぁ・・・」と、今朝私の布団にいたルディは裸だったものの、ちゃんと「パンツは履かないといけない」という理性が働いた事になるので、それは分ってるのかな?と半信半疑だが一応信じることにした。



数分後、私はリビングにあるパソコンで、明日のご飯のメニューについて真剣に考えていた。

その時・・・

「ミコーーーーー!!!」

・・・遂にルディの叫び声のようなものが、耳に入ってしまった。


しまった!!どうしよう・・・!?

くそっ!さっきちゃんとお風呂の入り方は教えたのに!

はあー、、っていうか、まずいまずい!!!!!!!


しかし、乙女は意を決して「愛猫の為!」と自分に言い聞かせ、ゆっくりとルディの待つ風呂場へと向かった。


「・・・どうした?!」

「・・・・・・。」

返事が無い。


「ルディ?どうしたの?-・・・からかってるの?!」

やはり返事が無い。

「まったくもう!」といって、私はもう一度「愛猫の為!」と心で唱え、もう一度意を決して扉を開けた。

お風呂場のドアは湿気でいっぱいなのがわかった。

「ル、ルディ~・・・?」

やはり返事が無い。
溺れた!?いやまさか。だって例え今の彼はうちのお風呂につかった所で、1パーセントも溺れる要素はない。むしろあの長い足が邪魔で「狭い」と文句を言うだろう。

そうか文句か!と思い、お風呂場のドア越しに言ってやった。
「どーせ身体がでかくて湯船につかれないとか文句言うんでしょ!」

すると、中からは懐かしい・・・いや、正しいともいうべきか、彼の返事が返ってきた。

「にゃあぁ~~~」