うちのおネコ様

それからルディはその日一日を自由奔放に楽しんだ。

食べ物は勿論、物珍しい雑貨、建物、ショッピング・・・何よりも外にいるという空気を思いっきり感じて楽しんでいたように思う。


私はちょっと心苦しくなった。血統書付きのネコという事で、外に出さずずっと家の中にいさせたルディとブルー。本来動物ならば誰かに飼われる事もなく本当は今の人間ルディのように、自由になるべきなんじゃないかと・・・そしてハルとの違いは何もないと思ってたのに何処かで壁を作らせてたのは、私達人間なんじゃないかと・・・


「あ~ミコ!すごいね!!世界は本当に広いんだね。今までよりも自分の目線は数倍高くなったはずなのに、まだまだ手の届かないものばかりだったんだね」


私はいつも足元にまとわりついてたルディを思い出した。


そして今私の隣で私の身長を越す大きなルディを見上げた。

「ルディ・・・私・・・」

「ん?」

どうしたの美子?と、くったくの無い笑顔でルディは美子を覗き込んだ。

<ルディはどうして人間になったのかな?>

そう思っただけで終わってしまった。夕方になり、家の方へ向かって歩いている途中に向こうから見覚えのある顔が見えたので。

「げっ!!」


お向かいの高田さん。

あらぁあらぁ~と、この近所に似合わない私の隣りの男性をみて、高田さんは声をかけずにはいられなくなったらしい。


「美子ちゃんっ!どおーしたのおー?あらっ!デート!!?」

ステキな人ねぇ~~!!高校生もなるとすぐに彼氏が出来るのねっと、高田さんは少々興奮気味に食いかかった。


「い、いえ違うんですー;この人はー」

そう、この人は、人ではありません。


そんな事通じるわけが無い。