記憶の破片

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「…ごちそうさま、でした」



お店を出ると夕方になっていた。



「それが正解だな。俺がいいって言ったんだから、払う必要なんてない」



さっきデコピンをした場所に手が伸びてきたから反射的に目を閉じた。


また、デコピンされちゃうっ!



「ぷっ。バーカ」



総さんの噴出す声と、額に触れた優しい親指の感触。



「総、さん…?」



親指の腹でなぞるように撫でられて。



「んな、痛くなかったろ?」



「やられた方はやった方が思ってるよりも痛いんですよ?」



だってさっきの本当に痛かったしっ。



「はは、怒るなって」



どうしよう。


総さんの優しい瞳に私が映ってる。


これは自惚れ?


自意識過剰?


でも、総さんの表情はすごく優しかった。



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