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「ただいまぁー」



一ヶ月以上ぶりの自宅にどこか懐かしさを感じた。


新選組の屯所もよかったけど。


住み慣れたこの家も同じくらい好き。



「疲れたでしょ?お茶淹れるね」



慣れた手付きでお母さんは私とお母さん用のマグカップにココアを注いでくれた。


湯気を上げるマグカップが私の前に置かれた。



「ねぇ、お母さん」



マグカップをそっと両手で包むとじんわりと温もりが肌に伝わる。



「ん?」



ココアを一口飲んだお母さんが首を傾げた。


マグカップを口の高さまで持ち上げると甘い匂いがした。


そういえばココアを飲むのも久しぶりだ。



「………タイムスリップって、あると思う…?」



ココアを飲むお母さんの手がピクリと動いた。


疑問が確信に変わる。


屯所にいた“沙知さん”は“お母さん”じゃないかって心のどこかで思ってた。



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