記憶の破片

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嘘はつかれてないと思うけど、はぐらかされた気がした。


それは私が子供だから?


少しも女性には見られていないから?



「沙知さん帰っちゃったんで、それ届けてもらっていいですか?」



それと指差されたのは私が買ってきた大福の入ったのは袋。


そんなわけで沖田さんを一人にしておくのも心配だったけど。


私が行かないと沖田さん自ら届けに行きそうな様子だったから私は屯所まで大福片手にやって来た。



「あら、綾さん」



門を入ったところで沙知さんに声を掛けられた。


そういえば、さっきは沖田さんと何を話したんだろう…。



「あの、これ沖田さんが沙知さんにって」



沙知さんに袋を手渡すと、沙知さんは中身を見てから私に笑いかけた。



「よかったら、お茶していきませんか?ちょうど私一人なの」



沖田さんが気になったけど、断る特別な理由もなくて。


私は少し迷ったあとそのお誘いにのることにした。


縁側で待っててと言われて、座ってお日様の光を浴びる。


ポカポカして気持ちいい。



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