記憶の破片

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「沖田さ…血がっ」



沖田さんの隊服は赤く染まっていて。


私は沖田さんが怪我をしてしまったのかと思い、慌てて駆け寄る。



「え?あぁ、大丈夫ですよ。全部返り血ですから。僕は怪我なんてまったくしてないですよ」



沖田さんはにっこりと笑う。


私は沖田さんの隊服をぎゅっと握りしめる。



「よかったぁ…」



沖田さんが怪我したわけじゃなくて…。



「心配しました?」



頭上から意地悪そうな、でも優しい声が響く。


私が顔を上げるよりも先に沖田さんが屈んでくれて、目線が同じ高さになる。



「するに決まってるじゃないですかっ」



よくわかんないけど涙が溢れて。


ぐちゃぐちゃな顔の私の涙を沖田さんは微笑みながら拭ってくれた。



「…ありがとう」



髪を優しく撫でられる。


でも不思議といやな気持ちじゃない。


トクトクと自分の鼓動が全身に渡る。


私と沖田さんはいつものように一緒にに眠った。


心に芽生えた確かな恋を感じながら…。



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