「私は…」

佐山は、自分の手のひらを見つめ、

「あの日…」

小刻みに震え出した。




「寝ている妻の背中に…包丁を突き刺した」


佐山は頭を抱え、

「私が自殺することを考えた!だけど、生きて…妻が、また誰かのものになるのが、いやだった!だから、刺した後、死ぬつもりだった!だ、だけど!」

目を見開き、

「妻を刺した瞬間…私は気づいたのです!なんてことをしたのかと!」



佐山は次の瞬間、我に返り、

救急車を呼んだのだ。





「私は、妻を殺してしまった」

佐山は再び…包丁を持っていた手を見つめ、

「愛しているのに」






後悔に苛まれる佐山に向かって、

やっと長谷川は口を開いた。


「佐山さん…」