あたしは、しばらくの間その場に立ちすくんでいた。
でも男の子がいる以上、ここにはいれない。
お昼は違うとこで食べようと、体を元来た道へ向けようとした。
…けれど、それもすぐに止められる。
「いいのか?ここに入って」
「いいんだよ。入っちゃいけない場所に入るって、なんか良くね?」
「まーな」
女の子の高くて透き通るような声とは違う、低くて身がぞっとする声がした。
まさか…
あたしは怖くて声も出ず、その場に固まってしまった。
その声は段々とこっちに近付いてくる。
この場から離れなきゃいけないと頭では分かっているのに
体が石になったかのように動けない。
…やだ!
こっちに来ないで…!
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