─ガタッ



「み、みは…る?」


朝、足早に教室に入ると無口のまま自分の席に向かった。


肩に掛けていた鞄を下ろし、机の横にかけてから椅子に座る。


教室に入って来てからずっと見ていたあやめが、あたしの顔をのぞき込んだ。



「大丈夫…?」


「ごめんね、もう大丈夫だから」



安心させるべく精一杯の笑顔を見せた。


本当は正直まだ大丈夫じゃない。


思い出しただけで体が震えそうになるけど、これ以上心配かけるわけにはいかないから。



「…無理するなって。あたしは美春の味方だから」


そう言ってあたしの頭を撫でた。


あやめ…

あやめの気持ちがうれしい。


あたしを撫でるその手が心地よくて、あたしは素直にうんと頷いた。