繭羅が少し後ずさったおかげで、はっきりと男の顔が見えた。
!!あの男、は……!!
「じゃ、行こ♪」
男が繭羅の腕を掴んだ瞬間、
俺は動き出していた。
「ハイ、そこまで。
その子離してもらえるかな?」
「…!?
……っカ、イ…」
繭羅が俺の名前を呼んだ。
「はぁ〜!?何だよ……
……げ…っ!!
…オマエは…っ」
「覚えててくれたんだ?
また会ったね。時田 健次くん?
君、まだこんな事してんの?」
俺は時田に向かってニッコリと笑った。
「う……わぁ!!!」
「きゃ…」
時田は繭羅を押しのけて逃げて走り出す。
俺は慌ててよろけた繭羅の背を支えた。
「あっぶね……
最低だなアイツ………」
よりによって繭羅を…
とにかく無事で良かった……
俺はホッと胸を撫で下ろす。


