なんだ……?
繭羅が最後に一瞬見せた顔が離れない。
「……ちょっとトイレ」
そう言ってその場を立ち上がる。
トシが興味深げにこっちを見ていたけど…完全無視で。
廊下は部屋の中の爆音が嘘の様に遮られて、緩やかな音楽が流れている。
俺はギャップに耳が変になりそうだな、と思いながら周りを見渡した。
いた………
女子トイレから少し離れた所に、繭羅らしい女の子の髪が見えた。
まぁ、見つけるのには便利だな…
俺はそっちに向かって歩き出した。
……?
誰かと話してる?
ボソボソと何か聞こえる。
「……嫌ですってば!!」
急に繭羅の荒げた声。
何だ!?
「えー、つまんないって言ってたじゃん」
「だけどあなたとは一緒にいたくありません」
「うわ、君キツイね〜」
どうやら繭羅は見知らぬ男に言い寄られてるみたいだ。


