「……お前、時々悪魔みたいに笑うよな」
今まで言わなかった…言えなかったけど。
「なんだそれ。
悪魔、見た事あんのかよ?」
あるわけねぇだろ…
だけど、いたらきっとこんな感じだろうと思ってしまった。
何より、コイツが繭羅を「綺麗」だと言った事が引っ掛かって
思わず「悪魔」だなんて…
「なぁ海斗。
気になるんなら…
行ってこいよ?」
ポンと俺の肩に手を置く。
「…いや……」
繭羅はそんなんじゃないし。
気になるのは
小さな頃から知ってる、妹の様な存在の女の子だからだ。
…そんな思いとは対象的に。
知らない繭羅を見る度に
胸がざわついていた。
少し
……痛みを伴って。
だけど
俺は気付かなかった。
いや…
俺は気付かないフリをしていたのかもしれない。
その
痛みの理由に。


