「お〜海斗、こっちこっち」
「お〜…」
着いたのは、最近出来たばかりのカラオケ屋。
パーティールームがいくつかあり、機能も最新、料理も値段の割にはイイとあって高校生には人気らしい。
まぁ…高校生のガキには所詮この程度だよな。
俺は傘を閉じて、少し濡れてしまった髪を振る。
こんなんじゃ風邪ひく…
「何、まだ不機嫌な訳?」
そんな俺の所へトシがやって来た。
あ?
「…メガネは?」
今日はメガネをしてなかった。
「学校でしかしねぇよ。
邪魔なだけだし」
そう言ってまたニヤリと笑う。
…意味解らんし。
実際、トシはモテるのに彼女は居なくて。
…なぜか人を近寄らせない雰囲気があるなって思ってはいたけど。
俺にはウザイほど突っ掛かって来る癖に。
だけど、メガネが無いだけでずいぶんやわらかく見える。
ふぅん?
それだけ気合い入ってるってか?


