「この階段さえなけりゃな……」


若いのに何言ってんだ、って怒られそうな台詞を呟きながら

俺は団地の前に構える長い階段を登っていた。


少し丘の上にある団地は、すっかり運動しなくなって怠けた足には少しキツくて。


…って
俺、オヤジくさい…


自分自身で気付いた事実に少しばかり衝撃を受ける。


高三の健康な男子がこれでいーのか…


最近は独り言まで出る始末。


あ〜…

駄目だ駄目だ。


うし。

気合いを入れて目の前に続く階段を見上げた。




―――その、時



沈みかけた太陽がまた昇って来たかのような


金色の光が俺の目に飛び込んで来た。




―――…!?!?


「きゃ……」