そして、今――――




「あっ、カイトだ。バイバイ」


「バイバイ、イオリちゃん」


俺は彼女に向かって軽く手を振った。


笑顔で俺の前を通り過ぎて行く。


きっとアイツの元へ行くんだろう。



結局、アイツらはお互いの気持ちが通じ合ってるのに気付かずに


ずっとすれ違ったままだったんだ。



はぁ。アホらし…

何となくは解ってはいたけどさ?


文化祭であった事件をキッカケに

あの二人はまた一緒に歩き出した。


もう、離れる事はないだろう。


要するに

俺は「失恋」したって訳で。

まぁ、初めから望みは無かったんだろうけど。


なのに俺は笑ってた。



だって


今君は


笑ってるから。



あの日の祈りは確かに


俺の秘めた想いと共に


空に届いたんだから。