降りしきる雨。
雫が弾ける道路。
道の端の水溜まり。
赤い信号機。
人気の少ない暗闇。

背の低い少女。


「……あぁ、そうか。
そっくりなんだ。この光景が。」

そう。忘れもしない二年前の梅雨。
あの日も今日の様に雨が降っていて、彼女も雨を全身で感じていた。

でもこの二年間何度となく、思い出したその光景とは少し違って、今日は少女はいつまでもニコニコと笑っていた。


「明日、大学であったらもう一度声掛けてみようかな。」


体に当たる雨粒に心地好さを感じながら家に向かう。
行きとは違う軽やかな気分で。